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手話通訳者不在 「取り残された」裁判傍聴席の聴覚障害者

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旧優生保護法を巡る問題の早期解決などを求めてデモ行進する福岡市ろうあ協会の山本秀樹会長(前列右)や、訴訟原告の朝倉典子さん(仮名、同右から2人目)ら=福岡市中央区で2023年11月18日午後1時22分、宗岡敬介撮影
旧優生保護法を巡る問題の早期解決などを求めてデモ行進する福岡市ろうあ協会の山本秀樹会長(前列右)や、訴訟原告の朝倉典子さん(仮名、同右から2人目)ら=福岡市中央区で2023年11月18日午後1時22分、宗岡敬介撮影

 障害者らが不妊・中絶手術を強いられた旧優生保護法を巡り、国に損害賠償を求めている聴覚障害者の女性が6月、福岡高裁での同種訴訟を傍聴するため、福岡市に手話通訳者の派遣を求めたところ、市から裁判の当事者ではないとして断られた。市は、聴覚障害者が裁判を傍聴する際の対応については「裁判所が実施すべきだ」とする。全ての人に開かれた裁判とするために、どの機関が手話通訳を準備すべきなのか。

 「手話通訳は派遣されないと知り、ショックでした」。聴覚障害のある福岡市の朝倉典子さん(81)=仮名=は手話で訴える。

 朝倉さんは7月5日、熊本県の男女2人が旧優生保護法下で不妊手術や人工妊娠中絶を強制されたとして、国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論を傍聴するため、福岡高裁に足を運んだ。朝倉さん自身も「夫が結婚前に不妊手術を強いられた」として、福岡地裁で同種訴訟を争っているからだ。

 朝倉さんは期日を前に、福岡市が手話通訳者の派遣事業を委託する「福岡市聴覚障がい者情報センター」にファクスで派遣を求めた。自身が原告として出廷する訴訟ではいつも同センターなどから手話通訳者の派遣を無料で受けていた。だが、センターからは「朝倉さんの裁判ではないですよね。こちらで派遣できるのは朝倉さんの裁判だけです」という回答がファクスで返ってきた。

 市障がい者支援課によると、センターから問い合わせがあり、同課で派遣をしないと判断した。

 福岡高裁での口頭弁論は朝倉さんを含め7人の聴覚障害者が傍聴していた。たまたま、傍聴席に手話通訳ができる女性がおり、朝倉さんらに気付いて裁判官や弁護士の了承を得て急きょ対応した。だが、女性によると、事前の練習がないうえ、法律用語が絡む裁判の手話通訳は難度が高く、通訳できない部分があったという。

 福岡市ろうあ協会は後日、市に派遣を拒んだ理由などを文書で尋ねた。市から届いた回答は「裁判の傍聴は本人の公的な手続きにあたらないため派遣の対象としていない」とした上で、裁判の傍聴については…

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