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「手話通訳費用は公費で」 提訴の聴覚障害者が直面する壁

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福岡高裁での旧優生保護法訴訟の口頭弁論を前に、集会で聴覚障害者に向けて手話通訳をする女性(左)=福岡市中央区で2023年10月13日午前10時37分、宗岡敬介撮影 拡大
福岡高裁での旧優生保護法訴訟の口頭弁論を前に、集会で聴覚障害者に向けて手話通訳をする女性(左)=福岡市中央区で2023年10月13日午前10時37分、宗岡敬介撮影

 聴覚障害者が、原告など当事者として民事訴訟に関わる場合に、裁判所が公費で手話通訳の費用を負担するよう求める声が日本弁護士連合会(日弁連)などから上がっている。現在は、判決が出るまで、手話通訳を利用する障害者側がその費用を一旦支払う必要がある。聴覚障害者が提訴するには、金銭的な負担の面でも壁があるのが実情だ。

 手話通訳は複数人が15~20分間で交代しながら通訳するのが一般的で、1回の裁判でかかる費用は数万円に及ぶことがある。聴覚障害者が訴訟の当事者となる場合、依頼があれば手話通訳者を裁判所が手配する。

 民事訴訟費用法は手話通訳にかかる費用を「訴訟費用」とし、原則的には敗訴者が負担する扱いとなる。だが、判決が出るまで、その費用は障害者側が裁判所に「予納」しなければならない。

旧優生保護法を巡る大阪地裁での訴訟の判決後、手話を使って記者会見する原告の女性(手前)ら=大阪市北区で2022年9月22日午後3時24分、川平愛撮影 拡大
旧優生保護法を巡る大阪地裁での訴訟の判決後、手話を使って記者会見する原告の女性(手前)ら=大阪市北区で2022年9月22日午後3時24分、川平愛撮影

 日弁連は2013年、手話通訳の費用を、公費で負担することなどを求める意見書を最高裁長官らに提出。19年にも「現行法制では、司法手続きにおける、障がいに応じた配慮が義務付けられていない」などと指摘する意見書をまとめた。

 13年の意見書作成に携わった辻川圭乃(たまの)弁護士(大阪弁護士会)は「手話通訳の費用を予納することは、聴覚障害者が訴訟を起こす際のハードルになっており、司法へのアクセスを阻害している」と指摘する。

 聴覚障害者への手話通訳派遣事業を担う宮城県の「みやぎ通訳派遣センター」の職員は「手話通訳は聞こえない人の手話を、聞こえる人にも通訳しており、裁判官も利用している。それなのに当事者に通訳費用を負担させるのはどうなのか」と疑問を投げかける。

 自身も聴覚障害がある田門(たもん)浩弁護士(東京弁護士会)によると、韓国では当事者として手話通訳を利用する場合は裁判所が全額を負担する。米国の多くの州も同様で、一部の州では、利害関係がある傍聴人の通訳費用も裁判所が負担しているという。田門弁護士は「当事者としての手話通訳費用は、裁判所が全額負担するのが一番いい方法だ」と通訳を介して訴える。【宗岡敬介】

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