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米国動揺 若者の叫びは「イスラエル寄りの国」を変えるか

樋口博子・ロス在住コラムニスト
民主党大会の会場に押し寄せたパレスチナ支持の若者ら
民主党大会の会場に押し寄せたパレスチナ支持の若者ら

 「ママ、党大会がパレスチナ支持者たちに乗っ取られた! 今から避難する」

  こんなメッセージが高校生の娘から届いたのは11月18日のこと。この日は年に1度のカリフォルニア民主党大会が開かれており、娘は州議会議員の夫と参加していました。

若者たちがなだれ込む

 このとき撮影された動画を見ると、「即時停戦」「ストップ! ジェノサイド」などと繰り返しながら若者たちが警備を突破し、党大会中の会場になだれ込みました。何百人もの若者たちの姿が確認できます。米国では反ユダヤ的とみなされる親パレスチナ運動のスローガン「川から海までパレスチナに自由を」も時折、聞こえていました。議場でも抗議活動は続き、ほどなくして党大会は中止となりました。

 ユダヤ系議員連盟はこの抗議活動を「乗っ取り」「反イスラエル」と非難し、党本部長も処罰を要求しています。しかし当の若者らは非暴力の抗議だったと訴え、毅然(きぜん)とした態度を崩しません。

 実はこの数日前にも、首都ワシントンの民主党本部前で大規模な抗議活動があり、けが人や逮捕者が出ています。今回、民主党最大の牙城であるカリフォルニア州での党大会が乗っ取られ、進行不全となったのは、党分断の象徴にもなりました。

若者と高齢層、意識の隔たり

 日本で暮らす人の中には、共和党がイスラエル寄り、民主党がパレスチナに同情的といったイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし歴代政府は党派を超えてイスラエル寄りでしたし、現在のバイデン政権も同様です。ユダヤ系の約7割が民主党支持とも言われます。マスメディアも、イスラム組織ハマスとイスラエルの衝突が始まった10月7日当初から、イスラエル寄りの傾向がありました。

 しかしソーシャルメディア(SNS)では連日、マスメディアであまり取り上げないパレスチナ自治区・ガザ地区の民間人被害などが発信…

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ロス在住コラムニスト

 兵庫県生まれ。ロンドン大修士(開発学)、東大博士(国際貢献)。専攻は「人間の安全保障」。2008年、結婚を期にロサンゼルスに移住。渡米前はシンクタンク、国際協力銀行、外務省、国際NGOで開発途上国支援に取り組んだ。米国で2019年に独立。地元コミュニティーを地域や日米でつなぐ活動をしている。カリフォルニア州議会下院議員アル・ムラツチ氏(民主党)は夫。